撮影ガイド
黒いジュエリーが灰色に写る理由
黒い作品を撮ると、濡れた石板のような色になって返ってきます。まず光を変えたくなりますが、色を動かしたのは光ではありません。動かしたのはカメラで、しかも意図的です。そして、それに言い返すために作られた設定を使うまで、同じことが続きます。
問題は、はじめから光ではありませんでした
撮影の不具合は、ほとんどが光で答えられます。輝きの死んだ石には、石が映し込める明暗が要ります。平板に写るチェーンには、光を片側へ寄せることが要ります。白っぽく写る真珠には、輪郭の硬い光源が要ります。まず光に手を伸ばす習慣には理由があり、多くの場合それが正解です。
灰色になる黒はその例外で、例外である理由は構造的です。ずれは場面の中では起きていません。光がすでに正しく仕事を終えた後、測定の中で起きています。黒い作品に完璧な光を当てても灰色になり得るからこそ、いつもの手順、つまり光を動かす、光を足す、光を柔らかくする、という繰り返しが、長く続いても収束しません。
測定の問題として見えた瞬間に、話はとても小さくなります。しくみは一つ、向きは分かっていて、その名を冠した設定があります。
その明るさが、実際にはどこへ行くのか
スケールは黒から白まで伸びています。作品がその上をどう動くかを追うと、不具合は不思議ではなくなります。
作品が本来ある位置
黒い石や、いぶし加工の銀のリングは、スケールの暗い端の近くにあります。その位置こそ商品の特徴であり、購入者に見せているもの、商品ページが説明しているものです。
露出計が置く位置
露出計は測ったものを中間調として写すため、暗い被写体で埋まった画面は、その被写体が中央に近づくまで明るく露出されます。写真は偶然に露出不足や露出過多になったのではなく、指示どおりに、ただし実際にはない被写体に合わせて露出されています。
露出補正が戻す位置
露出補正は、ライティングに触れずに位置を下へ戻します。補正はこれで全部です。場面はすでに正しく、スケール上の位置だけが間違っていました。
同じ規則が生む、反対向きの誤り
このしくみは被写体ではなく画面についてのものなので、一見無関係に見える二つ目の不具合を生みます。同じ暗い作品を明るい白の背景紙で撮ると、画面はほとんどが白になります。露出計は返ってくる光が多いと読み、場面が明るいと判断して絞り、すでに暗い被写体も含めて全体をさらに下へ引きます。これが白い背景で灰色になる問題で、リングのガイドでは一行の対処として示されています。ここで付け加える価値があるのは、これがそもそも別の問題ではない、という点です。
つまり同じ作品が、暗い背景では明るすぎ、明るい背景では暗すぎになり得ます。どちらの結果も、作品については何も語っていません。背景がそろっていないセットを後からまとめるのが難しいのはこのためです。どのコマも、商品ではなくその背景に合わせて露出されています。
実務上の帰結は、はっきり書いておく価値があります。一つのセットの中では背景を一定に保ち、露出を品物の性質ではなく撮影の組み立ての性質として扱います。品物ごとの自動露出は、品物ごとの写り方の決定であり、それを下しているのは、何を売っているのかを知らないしくみです。
シャッターを切る前に
暗い被写体に固有の5つの確認です。ジュエリー全般の確認はリングのガイドにあります。
- 画面の中の黒が、暗い灰色ではなく黒として写っている。
- 露出を露出計の言うまま受け取らず、自分で決めている。
- 背景が、セットの残りと同じものである。
- 補正を、光を足すことではなく露出で行っている。
- いぶし仕上げや黒色仕上げが、商品ページに書いた仕上げのまま見えている。
このページが扱わないこと
- 白飛び、つまり同じスケールの明るい端は、真珠のガイドで扱っています。そちらでは、それが輝きの残るかどうかを決めます。
- 使っているカメラがどの測光方式を採っているか。これは機種によって異なり、このページはそれについて何も主張しません。
- 数値。段数、露出値、校正の定数はいずれも測定であり、測定された出典はここには記録されていません。
よくある質問
黒いジュエリーが灰色になってしまうのはなぜですか?
カメラがそれを測り、明暗のスケールの中央に置いたからです。反射光式の露出計はそう作られています。暗い被写体が画面を埋めると、返ってくる光が少なすぎると読まれ、カメラは明るく露出して黒を上へ引き上げます。これが起きるのに、ライティングが間違っている必要はありません。
直すには光を足すべきですか?
いいえ、たいていはかえって悪くなります。光を足すと露出計の読みが明るくなり、それもまた中央に置かれます。対処はライティングではなく露出に属します。だからこそ、この問題はライティングをいくら試しても残ります。
同じ作品が白い背景だと違って見えるのはなぜですか?
露出計が画面全体に反応するからです。明るい背景が読みを支配して露出を下げるため、白い背景の暗い作品は暗すぎに写ることがあります。同じしくみが、反対向きの誤りを生んでいます。
カメラに露出補正がない場合はどうしますか?
解釈のされ方ではなく、露出計が読んでいるものを変えます。被写体で画面をもっと埋めるか、場面の別の部分で読みを取ります。同じ対処を、反対側から行うことになります。